医療の質の改善するためには、医療従事者が
1) 問題を特定し
2) 問題を測定し
3) 問題を解決するための一連の介入手段を開発し
4) 介入が奏功したのかを調べる
ことが必要です。
医療の質評価項目は、上記の2) にあたる「問題を測定する」ものです。
指標項目が医療の質の観点からみて不十分であれば、当該科や各種委員会、各種チームとの連携で介入を検討し、その効果を調べるという一連のプロセスを遂行したいと考えています。
医療の問題は、その施設の規模や医療レベル、地域の状況、時代によって変化します。それに従い、評価項目も変更していく予定です。
令和3年3月31日 医療の質向上委員長 川原 順子
浅い潰瘍が現れる褥瘡の初期の発生率をみたもので、褥瘡対策がうまく行われているかを評価します。
高齢患者(75 歳以上)におけるⅡ度以上の 褥瘡の院内発生率 |
= |
院内の新規褥瘡患者数 |
入院時、褥瘡orリスクが認められた在院患者延べ数 |
手術後は活動が制限されバランスを崩しやすい状態です。転倒すると発生しやすい大腿骨頸部/転子部骨折の
発生率をみたものです。これにより、術後の転倒対策がうまく行われているかを評価します。
術後の大腿骨頸部/転子部骨折の発生率 |
= |
術後に大腿骨頸部/転子部骨折が発生した患者 |
手術後の患者の在院延べ数 |
脳梗塞を早期に診断し、速やかに治療を行っているかの指標になります。
急性脳梗塞患者における入院死亡率 |
= |
死亡退院だった患者数 |
発症時期が急性期だった脳梗塞患者の退院数 |
PCI(経皮的冠動脈インターベンション)とは、カテーテルという細い管を使って心臓の血管(冠動脈)を拡張する血管内治療です。心筋梗塞の患者さんの死亡率を低下させることができることから評価します。ただし本指標は、患者さんの年齢や病気の重症度をふまえたものではないことに留意する必要があります。
PCI(経皮的冠動脈インターベンション)を施行した 患者(救急車搬送)の入院死亡率 |
= |
転帰が死亡だった患者数 |
救急搬送されPCIが施行された狭心症・心筋梗塞患者 |
抗菌薬の予防投与により、術後の感染症の発生率を低下させることができます。抗菌薬を適切な期間使用して
いるかで評価します。ただし、術後に感染症を発症し、予防的抗菌薬から切り替えて治療を行った患者さんは、
除外しています。
人工関節置換術/人工骨頭挿入術における 手術部位感染予防のための抗菌薬の中止率 (3日以内) |
= |
抗菌薬が予防投与され、3日以内に中止された患者数 |
人工膝関節置換術/人工骨頭挿入術の施行患者 |
抗菌薬の予防投与により、術後の感染症の発生率を低下させることができます。抗菌薬を適切な期間使用して
いるかで評価します。ただし、術後に感染症を発症し、予防的抗菌薬から切り替えて治療を行った患者さんは、
除外しています。
人工関節置換術/人工骨頭挿入術における 手術部位感染予防のための抗菌薬の中止率 (7日以内) |
= |
抗菌薬が予防投与され、7日以内に中止された患者数 |
人工膝関節置換術/人工骨頭挿入術の施行患者 |
出血性胃・十二指腸潰瘍に対する内視鏡的治療は、持続・再出血、手術への移行の予防につながり、患者さんの負担軽減になることから、施行率で評価します。
出血性胃・十二指腸潰瘍に対する内視鏡的治療(止血術)の施行率 | = | 内視鏡的止血術の施行患者 |
急性、出血性を伴う胃潰瘍・十二指腸潰瘍患者 |
腹腔鏡手術による肝臓および消化管手術における死亡退院率です。
腹腔鏡手術死亡率 |
= |
退院時転帰が死亡の患者数 |
腹腔鏡手術を施行した患者数 |
腹腔鏡手術による肝臓および消化管手術における入院中の輸血施行率です。
腹腔鏡手術後輸血施行率 | = |
入院中に輸血を施行した患者数 |
腹腔鏡手術を施行した患者数 |
内視鏡的治療を行った際、再出血などで再度手術に至った割合を示しています。
内視鏡的治療(止血術)施行後の再手術率 | = |
再手術に至った患者数 |
内視鏡的治療(止血術)施行した患者数 |
最近の報告では緊急で24時間以内に手術する必要はないものの,内科的合併症で手術が遅れる場合を除いて,できるだけ早期に手術を行うべきであるという報告が多くなっています。
大腿骨骨折48時間以内手術施行率 | = |
48時間以内に手術を実施した患者数 |
大腿骨骨折手術を施行した患者数 |
一般に、急性胆嚢炎の発症から72時間以上経つと、炎症組織は硬くなり、正確な切開が難しく、合併症も起こりやすくなり、開腹への移行率も必然的に高くなる。急性胆のう炎に対する胆のう摘出術は、症状が起こってからなるべく早い時期に手術を行うこと(早期手術)が推奨されています。
急性胆嚢炎に対する発症72時間以内の手術施行率 |
= |
72時間以内に手術を開始した患者数 |
急性胆嚢炎に対し手術を施行した患者数 |
Door-to-Balloon timeは施設での急性心筋梗塞がどれだけ迅速に治療されているかという治療の質を表す。この時間が短い方が生存率や治療後の経過が良いことが知られています。
本指標はDPC提出データを基に計算しています。
Door-to-Balloon(急性心筋梗塞で病院に到着してからPCIまでの時間が90分以内の患者の割合) |
= |
分母のうち来院後90分以内に主義を受けた患者数 |
18歳以上の心筋梗塞でPCIを受けた患者数
|
肺炎で入院され死亡された割合を示すもの。市中肺炎による死亡率は病院の治療効果を測る指標とされています。
肺炎(主病名として)の入院死亡率 |
= |
うち死亡患者数 |
主訴が肺炎の患者数 |
同一の疾患名で、退院後に再入院した患者の割合です。
同一疾患で入院した患者の1か月以内の再入院率 |
= |
ICD10の同一コードにて入院した患者数 |
該当月の患者数 |
平均在院日数や手術件数など、ある期間の実績や稼働状況を表す指標です。
QI(Quality Indicator)と似ていますが、QIが現在の医療レベルにおける医療の良し悪しを表すのに対し、
クリニカルインディケーターは、必ずしも質を表しません。
当院のクリニカル・インディケーター(診療評価指標)を設定し、公表します。
私たち富山赤十字病院の職員は、所属する各部署で、あるいは組織横断的なチーム活動をとおして、医療の質向上をめざしています。この活動の様子をQIニュースで皆さんにお伝えしていきます。ぜひご覧ください。